誰もが理解したいインターン

中小企業はその業態および規模、発展段階も本当にさまざまなのですが、その特徴として、オーナー社長の影響が非常によく出ていると同時に同族色の強い組織体であるということが言えます。 一方、社員も中途採用者がほとんどであり、その職業人としての発展段階もまたバラバラなのです。

いい悪いは別として、事実がそうなのです。 組織が動いているというよりも個人の裁量で動いている。私どもがとらえている中小企業における「人」という経営資源です。

実際、人事管理という経営管理の一機能はほとんど動いていませんし、賃金制度や人事評価制度、教育制度も「あってなきがごとく」という状態というのが中小企業の相場です。 そのバラバラかもしれない「人」のベクトルがうまくいい方へ向くと、経営管理など多少あさってを向いていても非常に活力のある組織になっていることがあるのです。

こういった状況の中で人事や賃金の問題を扱っていますと、つくづく「しくみよりも組織風土づくりだ」ということを感じます。 賃金制度という「しくみ」を中心に述べてはありますが、決して「しくみを作ればみんながよく働くようになるだろう」などという幻想は持たないことです。

多くの場合、その仕組み以前に解決しておかねばならないことがあるのです。 会社の方針であったり、上司と部下のコミュニケーションであったり信頼関係であったりします。


信頼関係のないところへ人事評価制度は定着しません。 かえって組織風土の悪化を招きます。

人を育てようとしていない、能力を伸ばそうとしていないところへ能力(実績)主義的な賃金体系を導入してもまず失敗します。 その失敗はますます経営者と社員のミゾを深めます。

ここのところは十分に気をつけて下さい。 人事管理の目的は「人と組織の活性化」にあります。


活性化とは「個人およびグループが、自主的に組織の目的とする方向への努力を、自己の目標と重ね合わせて、自然と行なっている状況」のことを言います。 この大前提をはずさずに、組織風土改善を中心にして、いろいろな制度やしくみを検討していって下さい。

現在、日本の多くの企業が賃金形態を年功序列型賃金から能力主義的賃金へ移行をしている最中ですが、この賃金形態というのはその時代の世相や経済状況を反映しています。 賃金の本論に入る前に、少しこの賃金形態の変遷について述べてみます。

特に定期昇給という概念は日本独特のもの、ということを初めに踏まえておいて下さい。年功序列や定期昇給は、現在はあたりまえのような感じを受けますが、この歴史は比較的新しいのです。 時代ごとに日本の一般的な賃金形態の変遷を見ると次のようになっているようです。

欧米では全社員が対象となる定期昇給制度はほとんど見られないようです。 ホワイトカラーは個別交渉(契約)または転職で賃金の上昇を図りますし、ブルーカラーは横断的組合の団体交渉でベースアップを行ないます。

日本のように使用者側が労働者全員を対象に一斉に昇給をさせる制度は世界的にめずらしいようです。 この定期昇給を行なう意味合いとして、三点があげられています。

このような観点での賃金制度を敷くようになった背景には、戦後の経済復興を担う労働力の確保と育成に重点を置いてきた社会背景と、長幼の序を重んじる日本的風土、農耕民族的な運命共同体意識がミックスされて醸成されてきたのではないかと考えられます。 昭和二十一年に次のような構成の「電産型賃金体系」というものが発表されました。



この定期昇給制度は日本的人事の特徴である「終身雇用」と「年功序列」とあいまって、人事面から日本の企業の発展を支えてきたものです。 最近はこの制度も中高年齢層を中心に見直しの機運が高まってきており、年俸制などの「定期昇給を排除する」賃金制度の導入も急ピッチで広まっています。

戦時中の海軍工廠の標準者賃金内訳は次のようなものであったようです。 この時点ですでに生活賃金と能力賃金の組み合わせ体系ができ上がっています。

今でいう併存型賃金体系です。 現在この三分法が職能給の標準的なスタイルとなっていますが、このとおりこの方法は特に目新しいものではありません。

一般的に基本給を構成する内容を要素別に分解すれば確かにこのとおりで、それぞれの金額をいくらにするかは線引きが難しいものの説得力のあるやり方といえます。 この「能力給」の部分を職能資格制度によって構成したものがのちに述べる職能給です昭和三十年代の後半からはいわゆる「職務給」が導入され始めました。

アメリカで主に導入されている賃金形態である「仕事に単価をつける」やり方です。 仕事の難易度が明確に賃金に反映されるため能力を反映させるのに合理的であるということで、当時進歩的な企業がこぞって導入したそうです。

この時期に職務の値段を決めるための詳細な調査を行なう「職務分析」が流行となり、多くの人事マンが非常な苦労をしたといわれています。 閉鎖的労働市場性等々により、一時的に流行した職務給体系はほとんど消滅してしまいました。

合理的すぎる賃金制度は日本の企業には合わなかったようです。 これに代わり広く受け入れられ始めたのが「職能給」です。


やはり仕事を見つめた賃金決定から「人」を見つめた賃金決定へ見方を変えたほうが、具合がよかったためです。 その理由として、次の二点があげられます。


度」を敷くことを本格的に検討し始めた。 課長とか部長といった職制の長には「椅子」がないために就かせることはできないが、能力や成績の向上、年功があれば、社内的な資格を与えることによって「昇格」できる道を提供する制度である。

それに賃金関係の処遇もリンクさせた。 この資格等級を上昇させる手段が単なる年功序列では企業の活力が落ちてしまうため、「能力」の基準を作る必要が出てきた。

これが「職務遂行能力」といわれるものである。 この職能給は現在ではかなりの普及をみており、職能等級という概念は社員にとっても一般的なものになっています。

長らく日本の人事制度に貢献してきたこの職能等級制度と職能給も今回の景気後退の影響から資格等級乱発の反省がなされており、組合員をはずれる中年以降の賃金を、職能給からより仕事給の意味合いの強い年俸制へ切り替えを検討している企業もかなりの数にのぼっています。 今後しばらくは年俸制とまではいかなくても、職能給における職務遂行能力の明確化と昇格基準の厳格化が多くの企業の課題になるでしょう。

いずれにせよ今までのようなお手盛り的な昇格は陰をひそめ、職能給が本来目的としている能力主義が再度見直されることになる。 次に賃金の基本的な考え方について見ていきましょう。

まず代表的な賃金体系とそれぞれの決定要素をまとめました。 以下、基本給と主要な手当の決定要素について述べていきます。

基本給は本給と呼ばれることもありますが、賃金の中で最もウエートが高いと同時に内容が最も不明確なものです。 とはいっても基本給が意図とする要素はあるわけですので、その要素を検討してみます基本給の構成要素は大きく分ければ次の四つです。

日本では職種ではなく年齢である程度の賃金相場が決まっていますので、一般的にはこれを無視した賃金政策は成り立ちません。 ゆえにここに「年齢給」なる概念が出てくる。


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